【書籍情報】
ユーチューブやミクシィ、フェイスブック、ツイッターなど、いま成功している「ウェブ2.0企業」には、すべて共通した“ある秘密”がある「バイラル・ループ」と呼ばれる現象がビジネス戦略に組み込まれているのだ。これはモノやサービスが人の口コミや紹介を通じて、“ウィルスのように伝播していく現象”のことである。誰も読んでくれる人などいないとわかっていて、ツイッターでつぶやく人はいないだろう。知り合いがいないのに、ミクシィに登録する人もいないはずだ。本当に気に入り、利用したいと考えたモノやサービスなら、消費者は自ずと周りの人に薦めるーー。こうして、利用者自身が気に入ったモノやサービスを積極的に紹介していく「バイラル・ループ」が拡がり、かつてないスピードで企業規模が急拡大しているのである。
では、いかにして“感染”するビジネスは生み出されたのか?ニューヨーク大学准教授のアダム・ペネンバーグは、「バイラル・ループ」を利用して世界的企業となった企業をいくつも取材し、その成功物語を一冊の本にまとめた。ウェブメールサービスの「ホットメール」やオークションサイト最大手の「イーベイ」のほか、容器メーカーの「タッパーウェア」がいかにしてシェアを拡大したかや、米オバマ大統領当選の背景までをつぶさに考察、その秘密に迫っている。「バイラル・ループ」にいち早く気付いた起業家や投資家、経営者たちがいかにしてそれを経営に活かしたか。本書は彼らの証言を元に、各企業の急成長ぶりを活写している。
ベンチャー企業、NPOや多国籍企業など、組織の形態や業種を問わず、ITテクノロジーの力を最大限に引き出す「バイラル・ループ」を企業戦略に組み込むことで、飛躍的な成長を望めるだろう。ライバルに差をつけるための次代のマーケティング戦略、「バイラル・ループ」。限られたリソースで確かなパフォーマンスを狙う現代のビジネスパーソン必読の書だ。
【読書メモ】
人間は面白い情報や製品、サービスを見つけると、ほかの人に伝えたくなる。(中略)そういう人間の特性を利用するのがバイラル・ループ企業なのだ。
(P.027)
「X モザイク」は(のちに「モザイク」と改名)は、インターネット初の大ヒットとなった。いち早く使い始めた熱心なユーザーたちが、口コミで強力なマーケティングキャンペーンを展開した。
(P.058)
バイラル・ビジネス成功の条件
(P.086)
そうやってできあがったあなたの「ミーム(人から人へ伝達される自己複製子)」は、(中略)れっきとした一つののブランドとして、管理が必要になる。
(P.091)
バイラル・ビジネスのなかには、システムの処理機能が追いつくように、成長にわざと歯止めをかけた例もある。(中略)つまるところ、加速中の車のなかでは、アクセルを踏むのと同じくらい、ブレーキをかけることも重要なのだ。
(P.189)
レブチン自身も、「優秀な従業員」をこんなふうに定義した。「内向的。自分と同じくらいの変人。机の下で寝るのも平気。セックスはあまりしない」。
(P.206)
【読書感想】
実は、発売前に献本して頂いていた本でした。
半分くらい読んで放置してしまっていた本。
改めて読み直してみると、かなりおもしろかったです。
数多くの事例が紹介されているだけでなく、関係者の声が数多く引用されているのが良い。
どうやってバイラル・ループを引き起こすのか、非常に参考になります。
それだけでなく、「ソーシャル・ネットワーク」のような創業物語がいくつか紹介されており、そのストーリーがかなりおもしろい。
facebookに関係するような企業の事例もあり、「ソーシャル・ネットワーク」を観た人におすすめしたい本。
【P.S】
日本語訳の自然さが素晴らしいです。
そのため、違和感なく本に引き込まれていきます。
訳書の場合、この点が大事。
あと、ちょっと思ったことをメモ。
デジタル以前のバイラル・ループの手法を見ると、「それマルチじゃない?」と感じることがある。
今のバイラル・ループは違うように見えるけど、根本はそこにある。
これを意識しておく必要があるかなと思う。
ついでに自分が「ソーシャル・ネットワーク」を観た感想も貼っておきます。
も必読。